古来、中国武術の大系は大別して二つに分けられる。
ひとつは『外功』と呼ばれる外家功夫。型や技法の修練に重きを置き、
筋肉や皮膚など人体外部の諸要素を鍛え抜く武術。
もうひとつは『内功』と呼ばれる内家功夫。外功の“剛”に対する“柔”であり、
力に対する心気の技である。体内の氣が生み出すエネルギー“内勁”を駆使することにより、
軽く触れただけで相手を跳ね飛ばしたり、武器の鋭利さを増したり、
五感を極限まで研ぎ澄ましたりといった超人的な技を発揮するほか、掌法と呼ばれる手技により、
掌から発散する内勁によって敵にダメージを与えたり治癒能力を発揮したりもする。
内家功夫は外家功夫より修得が難しく、その深奥に触れうるのはごく一握りの者しかいない。
だがその反面、内家の達人が発揮する神秘の技の数々は、
外家拳士では到底太刀打ちできるものではない。
両派はこうして、数と力のバランスで均衡を保ってきた。
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